情報通信革命と情報格差

―――九州・沖縄サミットによせて(*) (2000年7月23日)


 2000年7月に開かれた九州・沖縄サミットでは、「情報通信技術(IT: Information and Commnication Technology)」が中心的な議題の一つとなり、「グローバルな情報社会に関する沖縄憲章」が採択されました。この「IT憲章」では、「情報通信技術(IT)は、21世紀を形作る最強の力の一つである。……我々は、すべての人がいかなるところにおいてもグローバルな情報社会の利益に参加可能とされ、何人もこの利益から排除されてはならないという参加の原則に対するコミットメントを新たにする」と謳い、情報格差(digital divide)解消を国際的な課題として位置づけました。

 「デジタル・ディバイド」という言葉が初めて公的に用いられたのは、1998年7月に発表された米商務省の報告書「ネットからの脱落2 (Falling Through the Net II: New Data on the Digital Divide) 」においてであったと言われています。このなかでインターネットなど情報通信技術利用度の米国内における人種や学歴による格差が指摘されました。日本では翌99年ごろから頻繁にマスコミで用いられるようになり、平成12(2000)年版『通信白書』(郵政省編)でも「情報格差」は大きく取り上げられました。

 『インターネット白書 2000』(日本インターネット協会編)などによると、人口1万人当たりのインターネットに接続したホストコンピュータ数は、世界第1位の米国では約1,500台であるのに対して、アフリカでは平均2台しかありません。ちなみに日本は210台で世界第19位です。また、世界のインターネット利用人口に占める各地域の割合は、北米(アメリカ・カナダ)が49.4%、ヨーロッパが26.1%、アジア・太平洋が19.9%、南米が3.2%、アフリカが0.9%、中東が0.5%です。日本のインターネット利用者は、絶対数では米国に次いで世界第2位、対人口普及率は21.4%で世界第13位です(1999年末現在)。

 現在進行中のIT革命は、18世紀後半の第1次産業革命に匹敵する社会変化を引き起こす可能性があります。生活が便利になったり、新産業が生まれるといった、バラ色の近未来社会を思い描くことがありますが、この見方は一面的に過ぎます。IT革命が産み出す社会変化には、情報格差やサイバーテロなどの暗い側面もあります。世界的な情報格差の解消は、すべての人間は平等であるべきだという倫理的・人道的要請に加えて、国際社会の平和と安定を維持し、電子商取引など新しいビジネスを確立するためにも、国際的に取り組まなければならない重要課題といえるでしょう。

 

(c) 中沢 力(Nakazawa, Tsutomu)

 

(*) 本稿は、日本通信教育連盟の『常識講座』「第4章 国際関係への視点」へのエッセイとして執筆し、ボツになったものです (^_^;;  採用された原稿はこちらです。

 

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