表 政府の信頼性低下の原因についての仮説

仮説

妥当性

コメント

1. 権限領域 (scope) の急成長(GDPに占める政府予算の比率で測った場合)

〔政府機関の〕権限領域は3%から20%に増大しているが、その多くは社会保障、医療といった人気のあるプログラムである。これら急拡大した以外の領域における制度 (institutions) の信頼低下を説明できない。

2. 「侵入 (intrusion)」 と感じられるまでの権限領域の拡大

低/中

文化問題では意見が分かれている。環境・安全規制は人気がある。40%は「介入しすぎ」と答えている。他の制度を説明できない。

3. 執行力 (performance) の低下

低/中

81%が「無駄が多く非効率」と回答。しかし、全体的な変化を否定する研究者もいる。他の制度を説明できない。

4. 冷戦の終焉

最も〔政府の〕信頼が低下したのは1964年-74年である。

5. ベトナムとウォーターゲート

〔政府機関の信頼低下の〕端緒 (onset) に適合するも、継続性を説明するには補助仮説が必要。すべての制度に影響を与える可能性。

6. 「第二次世界大戦効果」--- 高い期待が裏切られた

1950年代は〔政府への期待が〕異常に高かった。すべての制度に影響を与える可能性。

7. 政治的再編成とエリートの分裂

端緒とタイミングが合致。保守同盟の成長を説明する。他の制度を説明できない。

8. テレビの政治への影響(政党の低迷・否定的宣伝)

タイミングと継続性に合致。〔大衆と〕距離をおくエリート。

9. メディアの役割変化

端緒のタイミングと継続性に合致。他の制度に合致。

10. 腐敗・不正の増大

中/低

〔腐敗・不正〕増大の証拠に乏しいが、そのような認識 (perception) は拡大している。ベトナム〔戦争〕とウォーターゲート〔事件〕が影響している。

11. 経済の全般的な低迷

失業とインフレに多様性。端緒のタイミングに合致せず。

12. 経済的不平等の拡大

〔経済的〕勝者と敗者の違いを説明できない。

13. グローバリゼーションと制御力の喪失 (loss of control)

全般的なムードに影響するも、タイミングが不明確で、影響も間接的。

14. 第三次産業革命

経済と通信の変化を説明。しかし、直接的な因果連関が不明確。

15. 社会資本の低下(ボランティア・グループでみた場合)

証拠に関して論争がある。政府への因果連鎖が不明確。

16. 社会資本の低下(家族の結びつきでみた場合)

端緒と継続性についてタイミングがほぼ合致。因果連鎖がいくぶん間接的。他の制度や外国との関係。

17. 権威パターンや「ポストモダン的価値」、特に1960年代以降

すべての制度と国家に適合。あらゆる多様性を説明できるわけではない。

(出所)Joseph S. Nye, Jr., "In Government We Don't Trust," pp. 108-109.
〔 〕内は紹介者による補足。

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